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編集ボランティアによるリポート / EDITOR’S REPORT

「音楽でつながる世界~言葉を超えるコミュニケーション」(2026多文化共生講演会)

実施日:2026年8月29日(土曜)13:00〜15:00

開場前から多くの皆さんが並び、開演前からホールは熱気に包まれていました。
ピーターさんのFM放送を視聴していた筆者は、てっきりお馴染みの1960年代から80年代あたりのロック、R&Bを通じて、主に欧米と日本をつなぐ話かと想像していました。ところが、始まってみるとビックリ!カテゴリーにとらわれない近年のワールド・ミュージックと、平和への想いを込めたピーターさんのメッセージ満載のあっという間の2時間でした。

講師プロフィール

ピーター・バラカン氏

ピーター・バラカン
Peter Barakan

1951年ロンドン生まれ。

ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。
現在はフリーのブロードキャスターとして活動し、NHK-FM「ウィークエンド・サンシャイン」、InterFM「バラカン・ビート」、NHK WORLD「Japanology Plus」などを担当。
音楽を通して文化や社会を見つめる発信を続け、著書多数。2021年よりPETER BARAKAN’S MUSIC FILM FESTIVALキュレーターを務める。

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キャプション

 まずは、ピーターさんが最近訪れた、ノルウエーの音楽祭にも出演していたセルビア人とボスニア人(かつては激しく対立していた民族同士)のデュオの演奏からスタート。
続いて、イランの女性グループの歌声、ピンク・フロイドの元リーダーとパレスチナ系米国人の女性歌手が英語とアラビア語で歌う最新の映像、キューバのベテラン・ミュージシャンたちのニューヨークでのライブ、西アフリカやパキスタンの音楽家が奏でるジャズなどなど、ふだん日本で接する機会が少ない貴重な音源、映像をピーターさんの想いやエピソードを添えて披露していただきました。

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ふふふふふふ

 まさに、音楽は言葉や国境を越えて、世界の人たちとつながることができる媒体だと実感しました。演奏の中には、今も起きている紛争や惨事への哀悼、平和への希求といった、メッセージ色の強いものもありました。
ピーターさん曰(いわ)く「音楽で世界を変えられるか? 何も変わらないかもしれない。でも、黙っていていいのか? 大切なことはこういう音楽に触れることによって、遠いところで起きていることを意識すること、忘れないこと」。来場者の皆さんも、いろいろと考えさせられることが、多かったのではないでしょうか。

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ふふふふふふ

来場者とピーターさんの一問一答

Q.日本にも多様な人たちは増えてきたが、多文化共生が進んでいない。
どういうところに問題があると思われますか?
A.英国でも多様化には時間がかかりました。第2次世界大戦後、英国でも働き手がなくなって、国を再建するために、呼び掛けて移民を受け入れましたが、英国民は共存になれていないので差別がひどかった。
一方、移民の人たちも世代が経つにつれて、民族的意識はあっても、文化的な意識は、英国民と違いがなくなってきました。多くの摩擦や差別もありましたが、時間の経過とともに徐々に徐々に、うまく共存する社会に変わっていく、というふうに僕は見ています。
日本は、まだそういう大変な時期を経ていないんですね。経なきゃいけないと思う。これからも日本の人口はとにかく減ってくるから。
英国も日本も同じ島国だけど、日本では江戸時代の鎖国から、ずっと独自の文化が続いてきた。外から来た人が、すぐには馴染めない文化的な違いがあると思います。
日本語という言語を習得すると、当然、なんでこんな言い方をするんだろうと思う。文化的な背景があって、それに気付くプロセスもあるんですね。
私が日本に来た50年前には、外国籍の人たちは日本の人口の2%くらいでした。在日の人たちが圧倒的に多かった。さっき川崎市には156か国、人口の4%の外国人が住んでいると聞きました。もうすでに変わりつつあると思います。
Q.世界に紹介したい日本のアーティストはいますか?
A.私は国内向けに音楽を紹介していますが、世界のどこに行っても、その国の伝統の民族音楽に根差したものの方が、やっぱりおもしろく響く。ですから、興味があるのは「日本人でなければできない音楽を演奏している人たち」。
海外に紹介するとすれば…「民謡クルセーダーズ」。日本の本当にもう土着的な民謡を、おもしろく、サルサとか、レゲエとか、アフロビートとか、そういったふうに編曲して踊る音楽にしてるんですけど、歌そのものは本当に民謡そのままなんですね。それがすごく面白くて。
同じように、民謡をちょっと別の工夫をして「すずめのティアーズ」と一緒に活動して歌っている「中西レモン」ですね。
Q.最近のソウル・ミュージックのシーンで、推しの人はいますか?
A.ジェイレン・ンゴンダ(アメリカ人でロンドン在住)はおもしろいんですが、今、1960~70年代風のサウンドを演奏しても、若い人たちには受けないかもしれない。それでも電子音楽はもう行きつくところまで行ってるし、音楽も流行(はや)り廃(すた)りがあるから、また戻ってくるかも。 エイミー・ワインハウスも、おもしろい活動をしていましたが、亡くなってしまいました。
Q.音楽にもAIの影響はあると思いますか?
A.私は100% 否定します。AIを多用すると脳の筋肉が減る、退化する。
でも、AIを拒否はできないから大事に付き合うことが必要だと思います。
Q.なぜ、日本語を勉強しようと思ったのですか?
A.特別な理由はなく、消去法(笑)。17才の時にまだ働きたくなくて、当時は無料だった大学進学を選び、科目を選択する時に消去法で語学、日本語にたどり着きました。日本とは「縁」があったんだと思います。

文:編集ボランティア 岡崎章
写真撮影:編集ボランティア 松波陽介、川崎市国際交流協会 加藤恵美
校正:編集ボランティア 相澤弥生 安藤節子 内田美加 高橋一彦
企画・編集:川崎市国際交流協会 加藤恵美

<講演中、ピーターさんが紹介された曲>
  • Daniel Lazar & Almir Meskovic “Capriccio Balkanico”
  • Mahsa & Marjan Vahdat “The Flower Of A Paradise Garden”
  • Roger Waters & Mona Miari “Comfortably Numb Re-Imagined”
  • Buena Vista Social Club “Candela”
  • Orchestra Baobab “On Verra Ça”
  • Béla Fleck with Djelimady Tounkara “Mariam”
  • Sachal Studios “Take Five”
  • Playing For Change “One Love”
  • Anouar Brahem “After The Last Sky”

関連ページ:多文化共生講演会 ピーター・バラカンさんの音楽でつながる世界